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東京高等裁判所 昭和53年(ネ)599号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【説明】

本件賃貸借は、昭和四八年五月一日に二〇年の期間が満了することになつていたが、当事者間で同年一月一一日頃、異議なく更新を認めるが更新科三〇万円を同年四月末日かぎり一括して支払う旨の約定が成立した。その後更新科は支払われず、一年間支払いを猶予されても貸借人(控訴人)は依然として不払いを続け、昭和四九年一二月二三日頃右三〇万円を分割して昭和五〇年一月から毎月末日かぎり一か月一万円づつ三〇回払いとする旨の約定が成立していた。

【判旨】

四原審及び当審における控訴人本人の各供述によると、被控訴人が控訴人に対し、右更新科分割支払の合意に基づく支払を全くしなかつたことが認められ、被控訴人の昭和五〇年一月分以降の本件賃料不払の事実、請求原因四記載のとおりの催告のなされた事実、同五、六の事実はいずれも当事者間に争がない。

五そこで同七、八につき検討する。

まず賃料不払の点について考えると、同六記載の昭和五二年一月一四日の催告にかかる賃料を被控訴人において催告期限内に支払わなかつたことは当事者間に争がない。しかしながら、同五の事実(昭和五〇年四月一〇日控訴人は被控訴人の持参した賃料を更新料の分割払金の支払と同時でなければならないとしてその受領を拒絶した。)と本件弁論の全趣旨とによると、右催告の当時被控訴人が右賃料のみを控訴人に提供しても、控訴人においてこれの受領を拒絶することが確実であつたと認められ、もとより、その当時までに控訴人において右賃料のみでも提供があればこれを受領する旨表示する等これの受領の意思を明確にした形跡はない。したがつて、同七、八の賃料不払による解除の主張は理由がない。

進んで更新料不払の点について考えると、同六記載の催告にかかる更新料を被控訴人において催告期限内に支払わなかつたことは本件弁論の全趣旨から明らかであるところ、右の更新料不払の経緯については、前記認定、説示のとおり、被控訴人は本件更新料三〇万円につき、つとに一括支払の約束をしながら、これを履行せず、その後これの支払の猶予をえたが、その猶予期間経過後もこれを履行せず、更にその後期限の利益を与えられて分割支払の約束をしながら又もや前言をひるがえしてこれを全く履行せず、更新された契約に基づく利益のみを主張しているものであつて、そのため、右催告にかゝる更新料を支払わなかつた経緯にあることが明らかである。以上によれば、被控訴人は本件賃貸借に関し、更新料を支払う旨の約定に再三違反してこれの支払義務を履行しなかつたものであり、そのためにその頃本件賃貸借の基礎となる控訴人と被控訴人との間の信頼関係が破壊されるにいたつたと認められ、控訴人は右の更新料の不払を理由として本件賃貸借を解除しうるものというべく、したがつて、本件賃貸借は前記催告期限たる昭和五二年一月一九日の経過と同時に解除されたというべきである。

(外山四郎 海老塚和衛 鬼頭季郎)

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